SAN JOSEから帰国後のつうしん 3人の子供達に囲まれた楽しい我が家
by nakiwarai_again
Calendar
S |
M |
T |
W |
T |
F |
S |
|
|
|
|
|
1
|
2
|
3
|
4
|
5
|
6
|
7
|
8
|
9
|
10
|
11
|
12
|
13
|
14
|
15
|
16
|
17
|
18
|
19
|
20
|
21
|
22
|
23
|
24
|
25
|
26
|
27
|
28
|
29
|
30
|
31
|
|
2007年 11月 19日
A Fine Dark Line
by Joe R. Lansdale
■あらすじ
1958年の夏、Stanley Mitchell Jr.は父親がドライブイン・シアターを買取った為、テキサス州東部にある小さな町デューモントに越して来た。
ある日愛犬Nubと家の裏にある森の中で遊んでいたStanleyは、焼け崩れた大きな屋敷の残骸と埋められた金属製の箱を発見する。箱の中には古い日記の切れ端や手紙の束。そしてその手紙は、MからJへとイニシャルでしか綴られていない。
夫の暴力から逃げMitchell家で働いている黒人女性Rosyが、13年前の同じ日に起こった二人の少女の殺人事件について話しをしてくれた。ひとつは裕福なStilwind家の娘Jewelがベッドの上で縛られ、家に火を放たれて焼死した事件。もうひとつは娼婦の娘Margretが線路に置かれ、列車に頭を切断された事件だ。切断された頭部はまだ見付かっておらず、Margretは幽霊となって探し回っているらしい。
子供特有の好奇心から、Stanleyは父の元で働く老いた黒人男性Busterに手助けしてもらいながら真相を調べ始める。そして、見つけた手紙の束が二つの事件と関係していることに気付くのだ。それ以来、Mitchell家は次々と恐ろしい事件が降りかかってくることになるのだった。
まだ13歳であるStanleyが、13年前の二人の少女の事件を解明し、家族に降りかかった事件をクリアすることが出来るのだろうか?
■感想
物語の背景は公民権運動が起こる少し前。一番の関心事であり一番がっかりした事は「サンタクロースは存在しないと知った事」という、まだ幼い少年Stanleyがひと夏の間に体験した冒険を、50代後半になった『私』が回想するスタイルの話である。
ミステリーという分野で出版されているのだけれど、世間の荒波から守られて育ってきた白人少年の成長記とも言える。少年を取り囲む面々が実に良い!酒飲みだけれど本好きで物知りな黒人の映写技師、料理がうまくて愛嬌のある黒人の家政婦、頑固ですぐに火が付きやすい性格だが家族想いの父親、公平な考えを持つ芯のしっかりとした母親、思春期真っ只中の美人な姉、いつも一緒で忠実な愛犬、などなど。
事件の謎解きをしていく過程で、性関係、人種差別、家庭内暴力、友情など現実社会について学んでいく様子が描かれており、人間として大きく成長していく様は生き生きとしている。ラスト2章で『私』が淡々とその後を語る部分が何とも言えず好きだ。そして最後の小さな新聞記事のくだりで「そうだったか~」と自分の中で静かに感じる感覚も心地良かった。映画になりそうなシーンだなぁ・・・と思っていたら、映画化されるみたい。
ミステリーとしてはイマイチな気がするので星の数は3つにしたけれど、文学物として読むのであればもうちょっと星は増えるな。星の数で表しているよりかなり気に入った本である。
この本を初めて読み始めたのは、ノアがお腹にいる2年前の夏。眠くなるタイプのつわりのせいか、本を開いては爆睡を繰り返し挫折。気を取り直して随分経ってから再度読み始めたものの、帰国の船便に梱包されてしまいまたまた挫折。そして今回、3度目の正直で読み直した訳だけれど、いやーっ即効で読み終わってしまいました(爆)。
出版社:Warner Books 307ページ
著者オフィシャルサイト: http://joerlansdale.com/
★★★☆☆
by いちほ
by nakiwarai_again
| 2007-11-19 12:43
|